Nio Day 2020で感じた蔚来汽车の「らしさ」と「強さ」

2021年01月12日

“人间烟火气,花重锦官城”

ニーオデイ(Nio Day)2020のイベントで、CEOのWilliam Li氏(李斌)が登場し、簡単な挨拶を終え、最初に発した言葉は「人间烟火气,花重锦官城」でした。言葉1つ1つの意味を噛み締めんばかりに、李社長はNio Day 2020に詩趣豊かなオープニングを飾りました。

米国最大の電気自動車メーカーのテスラが昨年2020年に行ったテスラデイ(Tesla Day)のイベントをご覧になった方ならお分かりだと思いますが、両社のイベントは雰囲気が大きく異なっており、恐らくこれはイベント主催においてだけでなく、両社の理念、経営戦略、または商品やサービスにも反映される、両社の独自な特徴だと言えるでしょう。

Nio Dayのイベントは3時間以上にわたる様々なコンテンツが盛り込まれたのですが、この記事では、敢えてNioが新しく発表した車やサービスではなく、李社長が冒頭10分をかけて丁寧に紹介したNioの非営利的な活動に注目し、李社長が選りすぐった言葉や表現を細かく解説し、Nioの「らしさ」、「強さ」と「ユニークさ」を解釈してみたいと思います。

ちなみに、Nioが当イベントで発表した新型セダン「ET7』や全個体電池の150kWhモデルなどの詳細につきましては、EV Smartのブログで細かく紹介されておりますので、ぜひご覧ください。

ここからは私個人の見解及び解釈になりますので、人によって言葉の解釈が異なりますので、ご了承ください。

“人间烟火气,花重锦官城”

この歇后语(中国語でよく使われる一種の言葉遊び)の前半と後半の文章を解いてみると、李社長が伝えようとするNioらしさがわかり、さらに、この後に続くNio活動の紹介にもスムーズに繋がっていきます。

前半の「人间烟火气」は元々、「人间烟火气、最抚凡人心」から来ています。“人间”は世間、“烟火气”はご飯を炊くときに出てくる湯気のことを指しています。後半は、「一般の人の心を一番支えている」という意味です。全体の意味としては、炊き立てのご飯の香りや、毎日見慣れている至って普通な風景などといった平凡な生活は、私たちの心の一番の支えになっている、ということです。

“花重锦官城”に関しては、唐朝(618 ~ 907)の時代に生きていた詩人の杜甫氏が詠んだ「春夜喜雨」という詩から由来しています。

春夜喜雨(762年)

好雨知时节,当春乃发生。

随风潜入夜,润物细无声。

野径云俱黑,江船火独明。

晓看红湿处,花重锦官城。

詳しい日本語の解説はこちら

この詩は762年の2月頃に書かれたのですが、詩人が住んでいた四川省成都市で、前年の冬から春にかけて厳しい旱魃(かんばつ)が続いていました。雨が長く降らず、農作物が乾き切っていたある春の夜、春雨がしとしと降り始めたのです。雨の音を聞きながら湧いてきた感情、そして雨後に目の前に現れる美しき春の景色を描く詩になっています。

では、李社長がイベントのオープニングで詠んだこの歇后语は何を意味しているのでしょうか?

李社長がイベントの冒頭10分で、当社のEV販売台数や、新車種や新技術などの業績の話は一切触れず、Nioが2020年に行ったボランティア活動、Nio利用者一人一人の私生活、新型コロナウィルスへの対抗に貢献した医療従事者や慈善家などの活動に着目し、なんだか心温まるような話を10分もかけてご紹介されました。

まず、当イベントの開催場所として選ばれたのは、四川省の成都市でした。この詩を選んだのは、詩人の杜甫氏が成都市でこの詩を書いたということと、Nioが伝えたいメッセージがこの詩の中に潜んでいるからなのではないでしょうか?

さらにそのメッセージを解いてみると、Nioのらしさと強さが見えてきます。

Nioの「らしさ」と「強さ」

2020年は新型コロナウィルスのパンデミックはNioだけでなく、中国そして全世界のビジネスや人々にとって大きな挫折になりました。こんな大変な時期だからこそ、私たちは日常生活においてお互いを助け合い、勇気を振り絞って負けずに前へ進まなければならない。その先には、きっと希望に溢れる明るい未来が待っているはず。

Nioの業績ではなく、まず私たちが住んでいるまち、私たちが支えられているコミュニティが最も重要なことだと言わんばかりに、李社長はNio利用者や支持者という「人」に焦点を当て、Nioはこれからも希望を与え続けるような会社になるし、明るい未来を創り出す商品やサービスを提供し続けるんだ!というメッセージを送ったのです。

“最黑暗的时刻,蔚来社区的每一个用户都没失去前行的勇气去追求美好未来的信念。”

(世が暗くて大変な時期になっても、Nioコミュニティにいる利用者一人一人は前進する勇気を失わず、美しき未来を築く信念を見失わない。)

当イベントは、168人のNio利用者がボランティアとして手伝い、263人のNio利用者とともに創り上げたと。そして、2020年には12,000のNio利用者が、新型コロナウィルスに対抗する活動、環境保護の活動、そして障がい者などの社会的脆弱者を手伝う活動など、500もの活動に参加したとのことです。

「私たちはともに、意見交換しながら、成長していく。ともに星空の下で映画を観たり、運動したり、汗を流したりしました。子供たちも新しい友達ができ、Nioのバッテリー交換ステーションで出会って恋に落ちたカップルもいた。」と李社長が写真を見せながら語りました。

大変な時期をともに乗り越え、ともに前進すれば、その先には希望に溢れる春が待っている。

そんなメッセージを贈ろうとしているのではないでしょうか?

NioらしさとNioの強さとは、「一般の人でも感じる、ごく当たり前な日常に潜む小さな感動を与えること、人と人との関係性を大事にするコミュニティの結束」だと感じました。

Nioが出している電気自動車は決して安いものではありません。むしろテスラと同じような価格帯の車を製造しているのですが、Nioがこのイベントで見せてくれたのは、その技術革新だけではなく、少し庶民的なところというか、親しみやすい一面でした。これは、Nioらしさとも言えるし、Nioの強みでもあるのではないかと思いました。

“人间烟火气,花重锦官城”

当たり前だと思うような日常には、私たちの心を支えるものがある。Nioは技術革新によって電気自動車を販売したりバッテリーを製造したりしていますが、それよりも、利用者一人一人の日常生活がより便利になることが大切。そう、Nioは電気自動車を製造し販売するだけの会社ではない。一人一人の生活がより豊かなものになるよう、新しいライフスタイルを提案しているのです。

そして、大変な時期だからこそ、私たちは力を合わせ、ともに乗り越え、「花重锦官城」に描かれたような美しい未来をともに創り、希望溢れる春を迎えるのです。

10分間にわたる詩趣豊かなオープニングを終えて、李社長は当社の新車種、新しい技術やサービスを発表し、会社の今後の話に移りました。

李社長の最初の10分間で見せてくれた素晴らしい演出は、Nioの強さを感じざるをえませんでした。


執筆:デニス・チア(ユアスタンド株式会社)

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