【戸建て向け】EV購入から家庭用充電器の選び方と設置までの流れ
2024年08月14日
EV(電気自動車)の購入を決めたら、まずは自宅へのEV充電器の設置が必要です。EVには自宅で手軽に充電でき、充電にかかる電気代はガソリン代より圧倒的に安いという大きなメリットがあります。ガソリンスタンドに通わなくてもいいところも便利な点の一つです。
本記事では、EV購入時に設置する家庭用充電器の選び方や設置の流れについて解説します。
充電器の種類や費用、設置工事の手順を押さえ必要な情報を把握して、スムーズに設置を進めましょう。
EV(電気自動車)購入から充電器設置までの流れ
EVは充電が必要なため、購入する際には、充電場所の確保が必要です。自宅の車庫に、充電器の設置を予定している場合に知っておきたいポイントをご紹介します。
1-1 EVの購入を決めたら、充電器の設置準備を
EVの購入を決めたら、早めに自宅に充電器を設置したいものです。工事自体は半日ほどで済むケースが多いのですが、工事までの準備に時間がかかります。まずは、購入する車がEVであることを再確認して、準備を行いましょう。
EVには、バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHV・PHEV)の2種類があります。バッテリー電気自動車の動力源は電気のみ、プラグインハイブリッド車は電力とガソリンが動力源となり、外部からの充電が必要な車です。
EVと混同しがちなハイブリッド車は、ガソリンを燃料としてエンジンで走行しており、モーターは補助的な役割を果たしています。ハイブリット車は外部からの充電ができないため、EVの分類には入りません。
1-2.家庭用 充電器の種類と価格
自宅で充電でき、ガソリン代より圧倒的に安いというメリットを活かすには、家に充電設備を整える必要があります。まずは、充電器設置までの基本の流れをつかんでおきましょう。
- 充電器を取り付ける位置を決め、充電器を選ぶ
- 見積もりを依頼
- 現地調査(見積もり)
- 工事の依頼
- 必要であれば、電気の容量の変更(電力会社に依頼)
- 充電器取り付け工事(工事は半日くらい)
EV充電器の取り付けは頻繁に行うものではないため、よくわからない場合や、選択を迷うケースも多いものです。そのようなときは、取り付け位置や充電器選びも含めて、工事を依頼する業者に相談するのがおすすめです。
EV充電に向いた電力プランなどに詳しい業者もあります。充電器設置だけでなく充電コストを抑える方法などの相談に応じてくれるでしょう。
次に、充電器設置に必要なポイントを見ていきましょう。
家庭用充電器の種類と価格
家庭用EV充電器は主に以下の3種類があります。
・「コンセントとケーブルで充電するタイプ」
・壁に充電器を取り付ける「壁掛けタイプ」
・地面や車庫の床面にスタンドを立て、充電器を取り付ける「スタンドタイプ」
EV充電器の選び方とタイプ別の特徴をご紹介します。
1-3.家庭用EV充電器選び方のポイント
家庭用EV充電器を選ぶ際には、以下のポイントに注意して、自分のニーズに合うものを選びましょう。
・設置場所の確認・・・ 自宅のどこに設置するかを考え、壁掛けやスタンドなど最適なタイプを選ぶ
・充電速度・・・ 充電器の出力により充電時間が異なるため、出力の確認は必須
・対応車種・・・ 日本で購入した車であれば、国産車でも外車でも充電ポートは同じ(J1772規格で統一されている)。ただし、テスラだけが異なり、専用アダプターを買う必要がある。
・価格と費用・・・ 充電器の価格だけでなく設置工事費も考慮し、予算に合ったものを選ぶ
・信頼性と安全性・・・ 信頼できるメーカー製の充電器を選び、充電時の安全を確保
・性能・・・ 出力変更・スマートホンでの充電管理やスケジュール充電などの機能を確認
高性能なものは価格も高くなりますが、長期的に使用するため、信頼性の高いメーカーの製品で、使い安い充電器を選ぶと良いでしょう。
コンセントとケーブル
パナソニック・コンセントタイプ(※別途充電ケーブルが必要になります。)
EV充電用コンセントと充電ケーブルは、比較的コストが安く設置しやすい充電器といえます。
しかしデメリットもあり、充電が完了したらケーブルを抜いて、車庫や車のトランクにしまう手間がかかります。ケーブルにはコントロールボックスが付いているため嵩が高く重量が3~4 キロあるのも、扱いが面倒な原因の一つといえるでしょう。
ケーブルは電気自動車に付属の専用ケーブルか、信頼性の高いケーブルを使います。安価なケーブルは充電中に過熱し、火災などの事故につながるリスクがあるからです。
価格の目安は、コンセントが約1万円、充電ケーブルが約7万円で、設置工事費用が別途発生します。
壁掛けタイプ
(ウォールボックス充電器・壁掛けタイプ)
EV充電の壁掛けタイプは、充電器本体に充電ケーブルが装備されており、充電用コネクタを車に差し込むだけで、簡単に充電が開始できるメリットがあります。ケーブルをわざわざ片付ける必要がなく、使用後はそのまま充電器に収納できるため、使いやすさは抜群です。
また、壁掛けタイプには、高性能なものがあるのも特徴の一つといえます。
コンパクトでスタイリッシュなデザインのウォールボックスの充電器は、ライフスタイルや車に合わせた出力変更が可能です。さらに、アプリを使って利用履歴の確認や、毎月の充電量や充電時間の管理、スケジュール充電も設定できるため、効率的に電力を利用できます。
価格(税込)の目安は、ウォールボックス社製(1.2~ 8kW)が約174,900円、パナソニック製(6kW)が314,600円、デルタ製(6kW)が約185,000円です。性能と価格を検討し自分のニーズに合うものを選びましょう。
おすすめな自宅用充電器(ウォールボックス)について詳しくはこちら。
スタンドタイプ
EV充電器のスタンドタイプは、家と駐車場との間に距離がある際に設置されることが多く、充電に便利な位置に取り付けが可能です。スタンドタイプには、コンセントを使うケーブルタイプと、充電器本体にケーブルが付属しているタイプがあり、ニーズに合うものを選びましょう。
柱状のスタンドを設置してコンセントタイプの充電器を取り付ける場合は、スタンドのみの価格が40,000円~ 、充電器が10,000円~、ケーブルが70,000円~です。
パナソニックの充電器本体にケーブルが付属しているタイプでは、約300,000円~となっています。
EV充電器の設置相談またはお問い合わせはこちら。
EV充電器設置工事の費用目安と見積もり
戸建て住宅にEV充電器を設置する場合の工事費用はコンセントタイプで10万円、壁掛けタイプのようなケーブル付き充電器では15~18万円が目安になります。これに、取り付ける充電器やケーブル代をプラスした金額が、EVの設置費用となるため、充電器によってトータルの設置費用は異なります。
注意するべき点は、設置場所までの配線距離や、配線が壁を貫通するかどうかで、工事費用が大きく変わってくることです。また契約電力を上げる場合に、電線の引き込みや、ブレーカーの取り換えで費用が発生するケースもあります。
正確な費用をつかむ一番の方法は、見積もりを取ることです。電気契約を変更した場合は、契約変更後の工事になりますので、まずは「充電運用事業者」「設置事業者」に問い合わせましょう。
EV充電器の設置準備と電力について
EV充電器の設置前に把握しておきたいことがいくつかあります。EV充電器設置の配線、家庭用充電器の特徴、200Vの充電器でかかる充電時間の計算など、設置工事が終わってから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、疑問を解決しておきましょう。
設置場所を決める際の3つのポイント
充電器の設置場所を決める際には3つの重要なポイントがあります。
・充電器の設置場所・・・一般的なケーブルの長さは5~7.5mで、充電器により異なる。車の充電ポートと充電器はケーブルが無理なく届く位置にする必要がある
・配線ルート・・・配線は、ブレーカーから充電器の設置位置へ引いていくため、壁を貫通させるのか、遠回りでも露出で配線するのかを設置業者と相談する必要がある
・自宅の余剰電力・・・電気の容量と使用パターンを考えて、EV充電設置後にオーバーする場合は、ブレーカーを変え、契約電力を上げる必要がある。ほとんどのご家庭で変更が必要といえるため、必ず設置業者に相談する
見積もり時には自宅で現地確認が必要になります。充電器の設置が屋外であっても、ブレーカーや配線の確認や検討が必要なため、必ず立ち合いましょう。また、契約電力を変更する場合は、変更後の工事になりますので、速やかに電力会社に変更の申し込みをする必要があります。
【賃貸への設置は大家さんの許可が必要】
充電器の設置では、ブレーカーの付け換えや、配線工事が発生します。そのため、必ず大家さんや管理会社に相談して、許可を得る必要があります。また、退去時に原状回復をするためにEV充電器を撤去するか、残して退去するかについても話し合って決めておくと良いでしょう。
家庭用EV充電器は「普通充電器」
家庭用のEV充電は、低い電力で充電する「普通充電器」を設置します。高速道路のパーキングエリアや道の駅では「急速充電器」が設置されていますが、これらは電力も充電器本体も家庭用とは異なるものです。
自宅に設置する充電器は、コンパクトで出力が小さく、充電に時間がかかるのではと心配される人があるかもしれません。しかし、月間800キロ(30日で割ると1日約26キロ)走行する場合でも、6kW充電であれば、1か月の充電時間はわずか20時間です。週1回、約5時間の充電で十分といえます。
EVを購入したら、毎日充電が必要なのではと思う人が多いのですが、実は、充電にかかる時間は意外に短いのです。
出力と充電速度の関係
家庭用のEV充電器は200Vを設置するのが一般的です。
充電器には100Vもありますが、時間がかかりすぎるだけではなく、通常のコンセントや延長コードを利用しての充電は、配線の過熱や火災の原因になるためおすすめしません。また、車種によって、100Vでは充電できない場合もあります。200Vの充電器で電力は下記になります。
・200V・16Aで充電した場合、電力は3200W(= 3.2 kW)
・200V・30Aで充電した場合、電力は6000W(= 6 kW)
【参考】
・電圧(電気を押し出す力、単位はV・ボルト)
・電流(電気の流れる量、単位はA・アンペア)
・電力(単位はW・ワット)=電圧×電流
たとえば、日産リーフ e+最新車種の場合、バッテリー容量は62 kWhです。0%から100%になるまでにかかる充電時間は下記になります。(実際は0%になってから充電をするケースは少ない)
・3.2 kW充電の場合は、20時間弱(62 kWh ÷ 3.2 kW)
・6 kW充電の場合は、10時間程度(62 kWh ÷ 6 kW)
先ほど、月間800キロ走行のケースをご紹介しましたが、週1回5時間程度の充電であればスマートホンの充電より頻度は少ないのです。車は自宅に停めている時間が長いため、停めている間に充電ができます。充電の時間は十分にあるといえるでしょう。
充電器設置後のメンテナンス
家庭用の普通充電器は、メーカーに依頼するような定期点検は基本的に不要です。とはいっても、日常のお手入れは必要です。表面がほこりなどで汚れたら、柔らかい布で拭き取りましょう。また、充電用コネクタが汚れたり水分が付いたりしたときは、乾いた布で拭き取ることが大切です。
充電器本体やケーブルに異常がある時は、メーカーや充電器の代理店、設置会社に問い合わせましょう。
事業者選びのポイント
EV充電器の設置を依頼する業者を選ぶ際のポイントは以下になります。
・信頼できる実績ある業者を選ぶ
・設置したい充電器を取り扱っている業者を選ぶ
・EV充電器の工事には、第二種電気工事士以上の資格が必要
この中でも、「信頼できる業者」を選ぶことが重要になります。問い合わせ時や、見積もりを取ってもらうときに、質問に対する返答や対応で業者を見極めましょう。見積もりは詳細を記載してあるかを確認し、不明な点は遠慮なく質問して不明点を残さないことが大切です。
合い見積もりを取った場合は、トータルの値段だけでなく、アフターサービスや充電器の性能の確認もしっかり行い、納得できる業者に工事を依頼しましょう。
電気代はどうなる?
ガソリン車からEVに乗り換えたら、燃料代が安くなるのはわかっているけれど、実際どれくらい安くなるのかが、気になるところではないでしょうか。
ここでは1か月に800キロ走行した場合の一例をご紹介します。
|
ガソリン車 |
電気自動車 |
燃費 |
10km/L |
6.5km/kWh |
必要な燃料/電気量 |
80L |
120kWh |
燃料/電気の単価 |
170円 |
40円 |
1か月の燃料/電気代 |
13,600円 |
4,800円 |
※車種や燃費、ガソリン価格や電気の価格により、実際の金額は左右されます。
上記表からガソリン代13,600円に比べ、電気代では4,800円と約1/3の電気代になることが、おわかりいただけるでしょう。しかし、電気プランを変更し、充電時間を管理することでさらに20%程度電気代を下げることも可能です。
電気プランの選び方
EV充電では、ライフスタイルに合わせた電気プランを選ぶことで、より安く充電することが可能です。一般に、夜間電力で充電がお得と考えられていますが、電力会社のプランや生活のパターンによっては昼間の充電がお得なケースもあります。
自宅で、電気を最も使っている時間や、どれくらいの電気を使っているかを考えて電気プランを選んでみましょう。EV充電器設置を行っている業者に相談してもいいかもしれません。業者によっては、電気代がお得になる提案もしてくれます。
EVにお得な電力プランの相談についてはこちら。
ライフスタイルに合わせて電力プランを選びましょう。詳しくはこちら。
EV充電器設置の流れを把握して快適なEVライフを
EV充電器の選び方や設置の流れ、気になる費用について解説しました。充電器の種類や設置場所の確認、工事の手順を理解することで、次にするべきことが見えてきます。自宅での充電がスムーズに行えるように、本記事で得た知識をもとに、次のステップとして、充電運用事業者か設置事業者に相談し、見積もりを取って、最適な充電器の導入を進めましょう。