横浜大規模マンション「タンタタウン」に6kW充電器導入

2024年04月21日 マンション・集合住宅

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 横浜市都筑区の大規模マンション「タンタタウン」にユアスタンドのEV用普通充電スタンド(6kW)が設置されました。住民が乗っているEVは1台だけだったそうですが、資産価値の維持・向上と将来の利用者増を見据えて、充電サービスを導入したそうです。担当した理事の方々からお話を伺いました。

 タンタタウンの総戸数は678戸。約4万9000平方メートルという広々とした敷地に、1番街から9番街までの9棟が配置されています。横浜市営地下鉄グリーンラインの「都筑ふれあいの丘」駅から徒歩5分という立地で、周辺は閑静な住宅街です。

 マンション敷地内は緑豊かで、あちこちに広場があって、散歩道が通っています。子供たちが楽しく遊べそうなわんぱく広場やじゃぶじゃぶ池もあって、訪れた時の初印象は「なんだか街みたい」。あとで理事の方に言われたのですが「だってタンタ『タウン』ですから」。たしかに。名称通りのランドスケープデザインなのでした。

 出迎えてくださったのは、タンタタウン管理組合理事長の平山さんと、副理事長の中生さん、そしてEV充電サービス導入を担当した専門委員会の八角さんの3人。住民が自由に利用できるタンタハウスという共用棟には、キッチン付きのパーティールームがあります。そこへ案内してもらってお話を聞きました。

 まずはEV充電サービス導入の経緯から。タンタタウンは、2005年に新築で入居開始したころは、駐車場100%というのがセールスポイントの一つだったそうです。ただ、2008年に地下鉄グリーンラインが新設されて、一気に駅近物件になったことなどもあり、駐車場利用者は年々減少傾向にあるそうです。そこで管理組合では、機械式駐車場を一部撤去・平置化することでコストを削減する努力をしてきました。

 駐車区画の削減などについて検討する専門委員会を担当していたのが八角さん。適正な区画数を検証している過程で「EV充電スタンドの設置も必要ではないか」と考えるようになったそうです。

 専門委員会で「マイカーを手放す予定」や「駐車場を新規契約する見通し」などについてアンケートをとっていたのですが、EV・ PHEVなど電動車への買い替えに関しても聞いてみたところ、「充電施設があれば検討する」と答えた人が意外に多かったとのこと。

 「実際にEVに乗っているのは現在1世帯だけですが、時期尚早とは思いませんでした。政府が2035年に電動車100%の実現を掲げていて、補助金制度もありますし、マンションの資産価値の維持・向上にもつながると考えました」(平山さん)

 そこで管理組合は、ユアスタンドの担当者を呼んで、設置プランについて具体的な検討をスタートさせました(ユアスタンドのことはインターネットで検索して見つけたそうです)。将来的に拡充することも考えつつ、でもスタートは小さくしたい。そこで自走式駐車場の屋上部分の2区画をEV充電専用の区画として、6kW充電スタンド(日東工業Pit-2G)を2台設置することにしました。照明など共用施設の電源とは別にEV充電スタンド専用の電源を新設して、利用台数の推移を見ながら設置台数を増やすこともできるように計画しました。

 2023年6月の総会で議案が通って設置が決定。規約改正が必要なため4分の3の賛成が必要な特別決議でしたが、無事にクリアしました。住民アンケートを実施するとともに、EV用充電設備についての住民説明会も実施するなど、管理組合が丁寧な情報提供を行なったことが、スムーズな採択につながったのでしょう。

 充電スタンド設置にあたって実施した管理組合のアンケートでは、「今後のマイカー買い替えにあたって、EVやPHEVを検討しますか?」という項目に、539人中161人が「はい」(10年以内)と回答しています。

 もちろん今後、どれほど魅力的なEV・PHEVが発売されるか、公共の充電インフラがいかに拡充されるかなど、EVシフトの動向次第で、実際に乗り替える人数は変わってくるでしょうが、現時点でマイカーの電動化を考えている人は意外に多いようです。

 2023年末に充電施設の設営が終わって、24年1月から利用を開始しました。充電スタンドの設備費・設置工事費については、充電インフラ補助金を活用できたので、管理組合の負担額は、消費税分の約26万円で済んだとのこと。

 いろいろとお話を聞いたあと、充電スタンドを見せてもらいました。マンション敷地内の中央付近に自走式の立体駐車場があって、充電器があるのは屋上です。スロープをぐるぐると登っていくと、ありました。壁面に充電器が設置された駐車区画が2つ。EV充電についての表示などはなくて、さりげなく置かれている感じ。

 利用者は、自分の駐車区画から充電区画までクルマを移動してきて、終了後はまた移動させます。充電スタンドをみんなでシェアするスタイルですね。置きっぱなしを防止するために1回の利用時間は12時間まで、という独自のルールを定めています。

 充電する時は、スマホの専用アプリで開始と終了をコントロールします。事前に予約して利用することもできます。電気料金はいったん管理組合が負担して、ユーザーが支払う充電料金で相殺します。6kWの充電料金は、1時間370円(3kWなら半額)。1kWh当たり約62円の計算で、わざわざ出かけなくても気軽に充電できるというメリットを考えると、十分に納得できる金額だと思います。

 「今後、どれぐらい電動車が増えるかにもよりますが、5、6年で設置費用の元は取れると想定しています。そのあとは、管理組合が利益を上げる意味もないですし、利用料などは再考したいと思っています」と八角さん。

 EV用充電スタンドを設置する過程で、理事のみなさんにはいろいろ気づきがあったそうです。「近くの市営施設に24時間使える公共の急速充電器もあるんですよ。でも話を聞いてみると、自宅マンションの駐車場に充電スタンドがあって夜に充電できるというのはとてもメリットがある。私たちはまだ使っていませんが、導入して良かったかなと思っています。これから広がっていくんじゃないかと期待しています」(平山さん)。

 中生さんも「せっかく設置したので、ぜひ使ってほしい。まだEV用充電スタンドができたことを知らない人もいるでしょうし、これから乗る人を増やしていきたいですね」と話していました。

 新設した充電スタンドをPRするために、住民を対象に電動車に試乗する機会を作ることも計画しているそうです。ユアスタンドや自動車ディーラーなどの協力を得て、毎年9月頃に開催している住民イベント「タンタ祭り」に合わせて、最新EVやPHEVの試乗会や充電デモンストレーションを実施したいとのこと。実現すれば、一気にユーザーが増えるかもしれませんね。

取材/篠原知存

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