老朽化した機械式駐車場を平面化し、EV充電専用区画にしたら9割埋まった
2023年02月16日 マンション・集合住宅
- 分譲
- 既設
- 全区画
- 機械式駐車場
基本情報
マンション名:シテヌーブ北千住30
所在地:東京都足立区
築年数:33年
住戸数:408(3棟)
駐車場区画:
2022年1月:160区画(うち機械式駐車場120区画、平置き40区画)
2023年1月:150区画(うち機械式駐車場100区画、平置き50区画)
※本記事は当マンション管理組合のご協力のもと、一部総会議案の内容に基づいて作成させていただいております。
※本記事においてEVはバッテリ式電気自動車(BEV)及びプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)のことを指します。
背景
1990年に竣工した当マンションは機械式駐車場120区画(上段60・下段60)を有していましたが、機械式駐車場の上段区画は2022年1月時点で91.1%の貸出率で埋まっていたものの、下段は33.9%の貸出率と低い水準が続いていました。
また、機械式駐車場100区画は一度更新しましたが、20区画は老朽化し、故障も多発していたため、下段は使用禁止にしていました。
老朽化した機械式駐車場を入れ替えることも可能ですが、そもそも下段が埋まらないのであれば、交換費用と保守費用がかかってしまい、管理組合が頭を悩ませていました。その解決策として挙げられたのが、機械式駐車場の平面化でした。
同時期に、居住者からEV充電設備の導入というご要望が寄せられたのですが、最初は平面化とEV充電設備導入を別々で検討していました。
2つの課題を同時に解決し、一石二鳥
もう一度整理すると、管理組合は以下の2つの課題を抱えていました。
1. 未更新の機械式駐車場は、更新の時期を大幅に超えており、かつ長年上段のみ使用されている状態でした。下段の空きが多い現状において、同じ2段式に更新することは現実的ではありませんでした。
2. 世の中でEVが急激に普及している中で、当マンションにはEV充電器がなく、区分所有者・入居者がEVを購入できない状況にあり、現に「充電器を設置してほしい」との要望が寄せられていました。また、EV充電器がないことで、当マンション購入を断念する人も出てくると思われ、他のマンションとの競争力を高めるためにもEV充電器の設置が必要な時期が来ていると考えていました。
剛力建設とユアスタンドのタイアップ
管理組合が機械式駐車場の平面化業者を探っている中で、有力候補の1つとして株式会社剛力建設が出てきました。実は、ユアスタンドは剛力建設とのタイアップで、平面化した機械式駐車場に無償でEV充電設備を導入させていただいております。この企画に興味をお持ちいただいた管理組合よりお問い合わせいただいたのが、今回のきっかけでした。
上記の課題に対して以下の解決策を剛力建設とユアスタンドが提案しました。
・2段式駐車場に比べてイニシャルコスト(埋め戻しはせず、鉄骨構造とすることで工事費用が抑えられます)やメンテナンスが安い平面化工事を実施します。その結果、上下合わせて20区画あった駐車区画総数は10区画減りますが、平面化された新設10区画は3トンまでの重量車両も駐車でき、車高の制限がなくなるため屋内平置き駐車場と同等の駐車区画となります。
・上記10区画それぞれにEV充電器を設置します。
・シテヌーブ共用部の電力容量の制限があり、EV充電器は3.2kW仕様とします。
・EV充電器の設置費用は、補助金を利用した上でユアスタンドの全額負担とします。そのため、ユアスタンドに充電設備の設置場所を無償貸与する契約を締結します。
EV充電区画の運用案
・EV充電器を設置した10区画は、EV利用者を優先するためEV専用区画とします。
・EV専用10区画のEV充電器の利用者はユアスタンドと個別に契約することとなり、同社システム使用料及び従量課金料金は利用者の負担とします。
・当マンションの共用部の電力容量制限があるため、ユアスタンドシステムの機能である「輪番充電」を活用し、同時に充電可能な台数を5台までと制御します。充電はユアスタンドの専用アプリを使用し、即時あるいは時間帯予約で行いますが、5台が充電中の場合でも空いている時間帯を予約し、充電用のプラグを差し込んでおくことで予約時間帯に自動で充電を行うことが可能です。
理事会及び住民総会での反応
理事会では、EVがこれから増えてくるだろうという前提で進んでいたので、反対の声はありませんでした。EV充電設備を共用部に設置するか、専有区画に設置するかという議論があり、また、住戸数408のマンションにおいてEV専用区画10台分はすぐ埋まるのではないか、という前向きの話し合いが展開されていました。
そして、住民総会において、区分所有者の皆様のご承認がいただけたので、機械式駐車場の平面化とEV充電器の導入が決まりました。
気になるEV専用区画の契約状況ですが・・
なんと、10月のEV充電設備設置完了の翌月11月時点で、10区画中、9区画へのお申し込みがあり、90%埋まる結果となりました。
実際に現にEVを所有しているのは3名で、残りの6名は半年以内に納車される予定になっています。
機械式駐車場の平面化とEV充電器設置でマンションの資産価値向上へ
本マンションでは、老朽化した機械式駐車場の悩みと、EV充電器設置のご要望に対して、剛力建設とユアスタンドのタイアップにより一石二鳥で解決しました。
EVが普及して新築マンションにEV充電設備が必須となりつつある時代に、EV充電設備のない既存マンションは資産価値が下がっていく可能性も否定できません。年数が経ち、機械式駐車場が老朽化する中で、本マンションのように機械式駐車場の区画がなかなか埋まらない状況が続くのであれば、平面化しEV専用区画に変更することで、マンションの資産価値向上につながる効果が期待できます。
ご検討の管理組合様、ぜひ一度お問い合わせください。