【大阪】マンションへのEV充電設備導入は時期尚早ではない。資産価値維持のための先行投資だ。
2023年03月27日 マンション・集合住宅
- 分譲
- 既設
- 共用部
マンション名:ジオ緑地公園
戸数:454戸
棟数:6棟
充電器設置台数:2台
充電器出力:6kW
EVシフトという世の中の流れ
2030年代半ばまでにガソリン車の新車販売禁止や、電気自動車(EV)の普及に関する報道は見ない日がないくらいと言っても過言ではありません。しかし、EVを購入する際、自宅マンションでのEV充電設備がないと不安に駆られ、なかなか購入することに踏み込むことができない方も少なくないでしょう。戸建てならまだしも、集合住宅の場合は住民総会で決議を取らなければならないので、EV充電設備の導入は決して簡単ではありません。
そんな中で、世の中の流れを見つつ、将来を見据えて行動に移る管理組合もいます。
世の中はEVシフトに向かっているのであれば、EV充電器というマンションにとって将来的に必要な設備を導入するのは時間の問題です。また、設備の導入だけではなく、設置後の運用も、そして必要に応じて設備の増設も視野に入れる必要はあるでしょう。
本記事ではEV充電設備導入の検討段階から設置までの流れを、大阪の導入事例を参考にしてご紹介させていただきます。
本記事はマンション管理組合の理事のご協力の元、執筆させていただきました。
検討開始から設置までの時系列の流れ
2020年 EV所有者から充電設備の設置要望書
2021年
5月30日 定期総会にEV充電設備の導入調査費を上程
10月 電気工事会社とEV充電設備について打ち合わせ
※充電設備を設置しても課金システムの運用管理が管理組合には重荷と判明
2022年
1月 充電事業者(ユアスタンド=YS)を紹介する雑誌記事(週間エコノミスト)を発見
1月21日 YSと初顔合わせ
2月1日 YSの提案(お見積書)を受領
2月26日 理事会に充電設備導入を上程
3月27日 充電設備導入に関する住民説明会(YS出席)
3月29日 EV充電設備導入に関するアンケート実施
4月30日 充電設備の導入は時期尚早ではないかとの意見書
5月29日 定期総会に充電設備設置の議案を上程
7月23日 理事会にYS起用を上程(契約内容、設置場所、利用料金)
8月1日 YSと工事請負契約
8月22日~ YSによる充電設備設置工事
9月1日 EV充電設備の利用開始
2023年
1月30日 EV充電設備の利用促進アンケート
2月~ EV充電設備の利用が急増
設置よりも運用が課題
上記の流れの通り、本マンションでは2020年の時点ですでにEV利用者がいて、充電器設備導入の要望書が出されていました。要望を受けて、理事が調査をしたところ、設置工事については理解したものの、利用者より電気代をどう徴収するのか、利用状況をどう把握するのかなど、充電設備の管理や運用が管理組合にとって重荷になることがわかって、なかなか前へ進むことができませんでした。
弊社は2018年よりマンションに特化してEV充電サービスを提供してまいりましたが、設置工事はもちろんのこと、それ以上に運用管理について管理組合向けの適切なアドバイスと、導入後、弊社より提供する利用者向けの予約課金アプリ及び管理者向けの管理システムが重要視されています。
マンションでのEV充電設備は時期尚早ではないか
EVシフトは実際に起きているとはいえ、日本ではまだまだ普及が遅いと言わざるを得ません。道理で、積立金の一部を削って、マンション居住者の一部しか使わないEV充電設備にお金をかけることに対して懐疑的な声があってもおかしくない。また、早かれ遅かれEVが普及することは理解していますが、今すぐやる必要はあるのか?時期尚早ではないか?という声も少なからずあるのでしょう。
実際、本マンションにも時期尚早ではないかという意見書が出ました。こういう声に対して、理事の方が丁寧に状況を説明し、そして緻密なシミュレーションで根拠付けて説得することに成功しました。
説得に成功した要素は2つあります。
- 充電インフラのための手厚い補助金
ここ数年、経済産業省から集合住宅のEV充電インフラのための補助金が手厚く出ています。充電器本体は50%、工事費は100%補助金で賄うことができます。但し、工事費の補助金には上限が設けられているのと、補助金対象外の項目もあるので、実際完全に100%出ることはほとんどありませんが、それでも導入費用の大部分を補助金で還付されるのです。
いうまでもなく、補助金は国の予算で毎年度組まれるのですが、ずっと補助金が出続ける保証はありません。そのため、EVが早かれ遅かれ普及して充電器が必要な設備になるのであれば、補助金がここまで手厚く出ている今こそ、補助金制度を活用して格安に導入するのが賢明なことでしょう。
- ランニングコストは受益者負担
充電器導入後、利用者が充電する度に共用部の電気代が高くなります。利用者が利用した分をお支払いする仕組みがなければ、継続的な運用管理は難しいでしょう。
この部分に関して、弊社は利用者向けの専用アプリを提供しております。利用者が使った分の電気代を、アプリに登録したクレジットカードで決済し、弊社を通して手数料を差し引かれた分が管理組合に戻ります。
電気代を含む充電料金は利用者が支払うため、管理組合にとっては赤字になりませんし、充電器を利用しない他の居住者にとっても費用が発生しないのです。弊社のシステムを導入することにより、いわゆる受益者負担を実現することができます。
資産価値維持のための先行投資
EV充電設備が導入されたからには、居住者に使ってもらわないともったいないです。むしろ、充電器の稼働率が上がれば、マンションにとって収支計画が黒字化するし、今後EV利用者が増えた際に充電設備の増設も居住者の理解を得ることが簡単になります。
2030年まであと7年。本マンションでは現在EVが4台ありますが、マンションでEV充電設備が導入されることによりEV購入を本格的に検討する居住者も増えるでしょう。
補助金制度を活用して充電設備を導入し、ユアスタンドシステムの導入でランニングコストを受益者負担にできれば、EV充電設備の導入は時期尚早ではない。むしろ、マンション資産価値維持のための先行投資だと考えられます。