BYD事業方針発表会2025
2025年01月24日
電気自動車(BEVとPHEV)の累計販売台数世界1位の車メーカーBYDの事業方針発表会2025に参加してきました。
参加会場にはメディア関係者や関連事業者が多くいらっしゃって、注目度の高さを肌で感じました。
本イベントでは、BYD Japan株式会社の劉学亮社長、乗用車部門のBYD Auto Japan株式会社代表取締役社長の東福寺社長、そして商用車部門のBYD Japan株式会社の石井副社長が登壇され、BYDの歴史や日本での活動、そして今後の予定について発表されました。
時間になると、近々日本で発売予定のシーライオン7とEVバスJ7がイベント会場に登場し、お三方がEVバスから降りてきて姿を見せました。
最初に劉社長が登壇し、力強い挨拶でイベントがスタートしました。
今年2025年はBYD創業30周年、そしてBYD Japan創業20周年という重要な節目ということで、劉社長は感情をこもってBYDの歴史から語り始めました。
ご存知の方も多いかと思いますが、BYDはもともと電池の研究開発からスタートした会社で、30年前に中国の深圳で立ち上がりました。そして、20年前に東京に進出し、のちに横浜に拠点を移しました。その後、群馬県館林の金型メーカーを買収し、自動車のドアやフェンダーなどの複雑な成形技術を取得し、後に車両生産に大きく貢献したという。
あれから30年、今や6大陸100カ国で新エネルギー車(BEV + PHEV)を累計420万台を超えるEVメーカーとしては世界1位になりました。
2010年、BYDが世界に出た際、「電気自動車は公共交通機関から」ということで、EVバス(商用車)からスタートしました。
日本では2014年2月、京都で初めてEVバスK9を披露し、2015年に納車開始。
その後、劉社長が福島に足を運んで、道路を走るバスに注目しました。車両は年数が経っているし、ステップもついているので、今後高齢化社会に向かう日本では優しくないことに気づきました。BYDの理念として「社会の発展において、BYD技術を活かして、人々の生活に役に立たせる」ことにあるため、BYDの技術を駆使して日本社会に貢献したいと考えたそうです。
最初のEVバスを出して10年が経ち、その間に日本ではどんな需要があるのか、たくさん教えていただいたという。
「BYDはみんなの注目ではなく、期待感に応えたい」と劉社長が強く言った。
日本のみなさんの期待に応えるべく、2022年4月、BYDは初めて乗用車のEVを発表した。そして、2023年秋に開催されたJapan Mobility Showに、BYDの創業者である王伝福会長が訪れ、日本におけるBYDのパートナーやディーラーの皆様としっかりコミュニケーションを図ったという。
現在日本にはディーラーが59箇所あり、2025年内には100箇所を目指す、という具体的な目標を掲げました。
そして、もう1つの期待に応えるべく、年内にある発表をするとのことでした。
ディーラーの方々や消費者の皆様といろいろ話した中で、BYDに対する要求をいただきました。EVの技術を10年間で進化しましたけど、社会浸透はまだまだという現実があります。多くの消費者はEVの魅力を知っていますが、充電インフラや航続距離への不安が漠然と残っていると言います。
そこで、劉社長がある約束をしました。
なんと、2025年内にPHEVを発表する!そして今後は毎年、必ず新車種を出すのだと。なかなかインパクトのある発表でした。
商用車部門の石井副社長からも、2026年に向けて、EVトラックを準備しているという発言もありました。そして、商用車部門の目標として「2030年までに累計4000台の販売を目指す」と掲げられました。
最後にBYD Auto Japanの東福寺社長が登壇し、日本では2024年のBYD車両が2223台販売され、前年比+58%と著しい成長を遂げた、というポジティブな切り口からスタートしました。
2024年はBYD Auto Japanにとって創業期の総仕上げという位置付けで、以下の3つの分野に力を入れたと言いました。
プロダクト:3車種のEV(Atto 3、ドルフィン、シール)を出した
体験機会:全国キャラバン、各地で試乗会、イベントを通して消費者に体験機会を提供した
コミュニケーション:第1弾、「ありかも、BYD!」というキャッチフレーズで、そして長澤まさみさんを起用し認知度を上げました。
これからは、第2弾:知るほど、ありかも、BYD!というコピーで、BYDの高い技術を全面的に押し出す、とのこと。
2024年は創業期の総仕上げだとすると、2025年は成長期へ向かう。
今年も様々なマーケティング活動で認知度を高めつつ、新車種シーライオン(RWDとAWD)を4月に発表・発売し、2027年までにBEV + PHEV 7〜8車種を発売するという。
最後に質疑応答の時間で、メディア関係者から多くの質問をいただき、BYDのお三方が真摯に回答されました。
一番印象に残ったのは、「昨年、今後日本市場にPHEVを投入するか?という質問を受け、劉社長は投入する予定はないと答えたのに、今年PHEV発売を発表するのはなぜ?」というご質問でした。
劉社長はこのように回答しました。(本人の発言を自分の言葉で書き換えています)
「常に色々な人と話しているのはBYDの特徴。社会は我々に何を期待しているのか?そして私たちはどのように人々の生活を変えることができるのか?消費者は何を求めているのか?こういった質問を常に問いかけている。日本でのEV普及率はまだまだ低い、この理由を追求するためにも、ディーラーをはじめ、色々な声に耳を傾けている。そういった声を踏まえて、総合的に判断し、PHEVを投入することに決めた。」
BYDはテスラと同様に、間違いなく今も、今後とも、EV市場を牽引していくメインプレーヤーであるでしょう。
劉社長が明言した通り、注目というよりも期待してほしい、ということで、今後も日本におけるBYDの活動・活躍を期待しましょう!