ソーラーカーポートとEV充電の相性は? 導入メリットとV2Hの活用方法も解説

2025年05月30日

ソーラーカーポートとEV充電の相性は? 導入メリットとV2Hの活用方法も解説

EV車の普及が加速する中、駐車場に設置するソーラーカーポートが企業から注目を集めています。

ソーラーカーポートは、駐車場の屋根に搭載した太陽光パネルで発電する仕組みです。その電力を工場やオフィスに供給したり、EV(電気自動車)の充電に活用したりすることで、電気代の削減とクリーンなエネルギー利用を実現します。 また、V2Hを連携すれば、EVに貯めた電気を建物へ供給でき、停電や災害時の備えとして活用することも可能です。

こうした利便性を背景に、この記事ではソーラーカーポートとEV充電の親和性と導入メリット、V2Hの活用方法までを解説し、工場やオフィスへのソーラーカーポート導入に役立つ情報をお届けします。

ソーラーカーポートとは?EV時代の次世代インフラ

再生可能エネルギーの注目が高まる中、EVの普及や電気代の上昇を背景に、ソーラーカーポートの導入ニーズが急増しています。まずは、ソーラーカーポートの仕組みや注目されている理由を解説します。

ソーラーカーポートの基本

ソーラーカーポートとは、駐車場の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽光を利用して電気を発電するシステムです。従来のカーポート同様、車を雨や直射日光から守り、さらに発電ができるという点が大きな特徴です。

発電した電気は、EV(電気自動車)への充電や、事業所の空調や照明、工場であれば生産ラインなどの電源としても活用できます。

太陽光パネルによって発電された電気は、パワーコンディショナー(パワコン)と呼ばれる装置を通して、活用可能な電力に変換されます。日中に発電した電気はリアルタイムで消費するだけでなく、V2Hを利用することでEVに貯めた電気を、夜間に活用することも可能です。(V2Hについての詳細は次の章で解説します。)

限られた敷地内で駐車場を発電所として活用できるため、都市部でも設置がしやすいといえます。効率的なスペース活用として注目を集めています。

なぜ今ソーラーカーポートが注目されているのか

ソーラーカーポートへの関心が高まっている背景には、主に3つの社会的な流れがあります。

ひとつ目は、世界的な潮流である「脱炭素化」の流れです。

温室効果ガス排出削減の一環として、再生可能エネルギーの活用が求められ、ソーラーカーポートは太陽光発電の導入手段の一つとなっています。

ふたつ目は「電気代の高騰」です。

エネルギーコストが経営を圧迫する中、自家消費による電気代削減ニーズが急増しています。

三つ目は「EVの普及」です。

充電設備の整備が急務となる今、発電機能を備えたカーポートは非常に有用な選択肢なのです。

また、既存の建物の屋根を活用する方法では、耐震性などの問題で太陽光パネルを設置できない場合があります。しかし、駐車場スペースがあればソーラーカーポートの設置が可能となるため、代替案としても注目を集めています。

EVとソーラーカーポートは相乗効果でメリット大

EVとソーラーカーポートは単体でも魅力的ですが、組み合わせることで実用性・経済性がアップし、環境への負荷も低減します。具体的なメリットを見ていきましょう。

発電した電力を駐車場でEV充電に活用

ソーラーカーポートで発電した電力を、EV充電に活用することで、自家発電のエネルギーでの走行が実現します。企業であれば、工場やオフィスの稼働中は建物の電力として活用し、非稼働となる週末などは社用EVへの充電に利用するなどの使い方ができるでしょう。

■ソーラーカーポート×EV充電の主なメリット
・自家発電のため、電気代が大幅に削減される
・充電スタンドにいく手間が省け、充電切れの心配が減る
・脱炭素や地球環境への貢献ができる

なお、ソーラーカーポートから充電をする場合、昼間の発電時間しか充電できないわけではありません。蓄電池があれば、蓄電池に貯めておき夜間や天気の悪い日の充電も可能です。また、多くのEV充電器やV2Hは電力会社の電力との連携機能をもっているため、電力会社の電気を利用することも可能で、条件に応じた充電が可能です。

ソーラーカーポートでEV充電をすることで、環境対策、経済性を同時に高められます。

太陽光×EVで実現するエコで経済的な運用

太陽光発電とEVの組み合わせは、日中に発電しEVへ充電という流れが自然に実現します。電気代が高騰しても価格の影響を受けずに充電が可能になります。環境や社会に配慮した企業であることを示すことができ、ESG経営の一環としても有効です。

■太陽光発電×EVで実現する具体的なメリット
・充電にかかる電気代の削減
・企業であれば、ESG経営・環境配慮をPRできる
・EV充電で自家発電の電力使用率がアップ

以前と異なり、売電価格が下がっていることから、売電よりも自家消費の方が経済的に有利なケースが多くなっています。EVへの充電により発電した電気を無駄なく消費できるため、太陽光×EVは、企業にとってメリットの大きい運用となります。

充放電のハブV2Hとは?

「V2H」とは「Vehicle to Home(ビークル・トゥ・ホーム)」の略で、EVに貯めた電気を、建物へ供給する仕組みのことです。つまり、EVを「蓄電池」として活用できるのが大きな特徴です。

V2Hを利用した際の流れと、メリットを見ていきましょう。

■発電から利用までの流れ
①ソーラーカーポートで発電(直流電力)
②パワーコンディショナーにより交流電力に変換
③パワコンで変換された交流電力をEVに充電し蓄電
④EVに充電された電気は、バッテリー内部では直流電力の状態で蓄えられている
⑤建物へ供給する際は、V2H機器により交流電力に再変換し、分電盤を通り電気配線へと送られる

■太陽光発電×V2Hのメリット
・地震や台風などの災害時に電力会社に頼らず電気を確保できる
・工場やオフィスでは停電対策になり、BCP(事業継続計画)対策になる。
・太陽光発電の自家消費率を高める

ただし、V2H機器の設置には費用がかかります。また、すべてのEVがV2Hに対応しているわけではないため、導入前に車種の確認と見積もりが必要です。

ソーラーカーポートの電力をEV充電する5つのメリット

駐車場で発電して、EVに充電できるソーラーカーポートは次世代インフラです。導入によって得られる5つのメリットをご紹介します。

1. 駐車場スペースを発電スペースに変えられる

これまで車を停めるだけだった駐車場スペースを、電力を生み出す発電所として活用できるのがソーラーカーポートの大きな魅力です。屋根部分に太陽光パネルを設置することで、限られた敷地内で太陽光発電が可能になります。

とくに既存建物に太陽光パネルを設置できないケースでは、ソーラーカーポートが有効な代替手段となります。電力の自給自足に向けた第一歩にも最適といえるでしょう。

2. 社用EV・従業員EVへの充電が可能に

オフィスや工場の駐車場をソーラーカーポートにすれば、駐車場でEVに充電できる環境を整えられます。社用EVや従業員のEV通勤車に対して充電ができることから、企業のEV活用が一気に進むでしょう。

従業員にとっても、職場で手軽に充電できることは大きなメリットで、EV購入を後押しする要素にもなります。また、充電設備の提供は福利厚生の一環にもなり、電気代を削減しながら、従業員満足度の向上にも貢献します。

3. 太陽光の余剰電力をEV充電に活用できる

工場やオフィスが休みになる週末は、太陽光発電による電力が余りがちです。その余剰電力をEVへの充電に活用すれば、効率よくエネルギーを使えます。

V2Hを導入すれば、日中に充電したEVから夜間に建物へ電気を供給することも可能です。発電した電気を最大限に使うことで、エコで経済的な運用が実現します。

4. ESG経営・脱炭素のアピールになる

ソーラーカーポートでの発電とEVへの充電は、環境負荷を抑えた脱炭素経営の実践です。企業のESG対応として、社外からの評価にもつながるでしょう。

■ソーラーカーポートで実現できるESG
・Environment(環境):太陽光発電によるクリーンな電力活用
・Social(社会):従業員へのEV充電提供やBCP対策
・Governance(ガバナンス):持続可能性を見据えた設備投資

環境に配慮した経営姿勢は、ESG投資の対象企業として選ばれる可能性を高めてくれます。

5. BCP対策・災害対策としての活用も

ソーラーカーポートにV2Hを組み合わせることで、地震や台風などの災害や停電などの非常時にも、EVから建物への電力の供給が可能になります。照明や通信機器、空調などの最低限の業務体制を維持できるため、事業継続計画(BCP)として非常に有効です。

電気を確保できることで、「災害に強い企業」としての信頼性向上にもつながります。再生可能エネルギーとEVを活用した次世代型の備えとして、注目されています。

ソーラーカーポート×EV充電導入の注意点と対策

ソーラーカーポートとEV充電を組み合わせて導入する際に、押さえておきたい注意点と、その対策を解説します。

設置スペースと日照条件を事前に確認

ソーラーカーポートを導入する際は、設置場所の条件の確認は不可欠です。

■設置場所で確認すべき事項
・日中に日差しが当たるか、周囲の建物や木の影が太陽光パネルに影を落とさないか
・地域の天候の特性や積雪の影響も考慮する
・ソーラーカーポートを設置する敷地面積と駐車台数

V2H機器やEV充電スタンドを併設する場合は、それらの配置を含めた全体設計が重要になります。実績ある業者に依頼し、現地調査を行った上で最適な設置計画を立てましょう。

ソーラーカーポート設置の初期費用と補助金

ソーラーカーポートの設置には、ある程度まとまった費用が必要です。初期費用はさまざまな要因で変動幅が大きいため、専門業者への問い合わせをおすすめします。

ここでは、導入時に費用を左右するポイントを確認しておきましょう。

・設置するカーポートの台数や規模
・太陽光パネルやパワコンの性能
・既設の分電盤までの距離
・地盤改良の有無や基礎工事が必要かどうか
・EV充電設備、V2H機器の導入の有無

専門業者のシミュレーションや現地調査で見積もりを取り、資金計画を立てることが重要といえます。

また、ソーラーカーポート導入時の補助金の活用は、よく検討されるポイントです。環境意識の高い企業が、再生可能エネルギーの導入を検討する際には、魅力的な制度といえるでしょう。

ただし、補助金制度の傾向として採択のハードルは高く、より明確な政策目標に合致する事業主体や、特定の要件を満たす場合に採択されるケースが多いようです。また、補助金を受けると売電が制限されるなどの条件があるため、制度をよく理解した上で利用する必要があります。

ソーラーカーポート導入を後悔しないためのポイント

ソーラーカーポートの設置で後悔しないためには、導入前に発電量のシミュレーションを行い、発電電力の活用やEV充電の運用計画をしっかり立てることが大切です。 そのためには、業者選びがポイントになります。信頼がおけるのはもちろんですが、技術力は不可欠です。業者を選ぶ際は下記ポイントも確認しましょう。

・発電電力をEVに効率よく充電できるシステムをもっている
・発電量に応じて、充電タイミングなどを管理・調整できる
・建物に電力を供給するV2Hの導入を管理・調整できる

設計から施工・アフターサポートまで対応できる業者であれば、安心して長く運用できます。

EVと機器の仕様の確認は重要ポイント

EV充電とソーラーカーポートを連携させる場合、事前にEVと充電機器の仕様をしっかり確認しておくことが重要です。

とくにV2Hを導入する場合には、使用するEVがV2Hに対応しているかチェックを行いましょう。

また、以下のポイントもチェックが必要です。
・V2H機器の充電方式が、EV側の規格と合っているか
・充電・放電の最大出力(kW)
・充電時間や給電能力が希望に合っているか
・将来的な車種の買い替えに備えた拡張性や対応性

信頼できる施工業者であれば、機器選びから相性確認までトータルでサポートしてくれるため、業者選びが導入を成功させるための重要なポイントになります。

企業・工場・公共施設での活用

企業・工場でのソーラーカーポートの活用は、再生可能エネルギーの導入にとどまらず、EVとの連携によって、コスト削減をはじめとするさまざまな波及効果をもたらします。

工場: 非稼働となる週末などは、太陽光発電された余剰電力を活用し、社用EVにフル充電を行う。これにより、電気代の削減と電力の自家消費を促します。

オフィス・事業所: 通勤する従業員のEV車両への充電設備を提供。福利厚生の一環になり、EV普及の後押しの役割も果たします。

公共施設・自治体: V2Hとの連携で、停電時にEVから建物へ電力を供給可能に。照明や通信機器への電源として活用でき、非常時に地域インフラの一部として活用できます

このように、ソーラーカーポートは環境への貢献だけでなく、経済性・社会貢献・防災といった多方面において事業活動を支える発電インフラとなります。

今後のEV普及とエネルギー自給のカギを握るのは「駐車場」

ソーラーカーポートが、駐車場を「発電・充電・備え」を担う電力インフラへ進化させる可能性を、解説してきました。EVへの充電とV2Hの連携により、災害時の電力供給やBCP対策にも貢献します。EVの普及、電気代の高騰、そして脱炭素の流れが加速する中で、自社で電力を賄うことは事業への優位性をもたらすといえるでしょう。

ソーラーカーポートの設置を検討する際は、まず専門業者に相談し、発電量や費用、将来的な運用まで見据えたアドバイスを受けることが大切です。

駐車場で発電する再生可能エネルギーと、EVのもつ可能性を最大限に活用していきましょう。


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